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アンティークのカメオには美しいものが沢山あります。19世紀ヨーロッパ、当時は今では考えられないほどの低賃金・長時間の過酷労働でした。それでも金職人を志す人が多かったのは、貴族層と近いから。顧客となる上流階級に才能を認めてもらえれば、道が開ける、そんな夢がありました。
　
　当時は貧富の差が激しく、子供を守る仕組みがありませんでした。金職人を志す場合、幼いころに貴族層を顧客に持つ職人に入門します。休日がなく、過酷な為に生きるか死ぬかの厳しい環境でした。ライバルの中で技術を磨き、運も才能もある人はパトロンが付き、独立への道が開けたそうです。

　こちらのカメオは、19世紀フランスで名前を馳せていた、Louis Hanotのカメオリングです。フランスでは今でも名前の知れているジュエリー工房で、国内外の名家や貴族層に人気がありました。
　モチーフは、ギリシャ神話に登場する知恵の女神：ミネルヴァ。芸術や医学の神としても有名です。石は瑪瑙。ストーンカメオは堅いため、貝を彫刻するよりも難しいのですが、このような小さな石の中に、正確な描写で描き出されたモチーフは立体感があります。人気のジュエラーに弟子入りすること自体、ハードルが高かったため、上手な中でも上の職人さんによる作品と思われます。強さを秘めたフェミニンな横顔は気品があり、フレームに収められた絵画の様な気高さがあります。

今も昔も、フランスは世界をリードする、ハイセンス・ハイクオリティ。顧客の目も厳しい中に、選ばれてきた圧巻の美があります。歴史ある作品、その裏側には厳しい世界があり、鎬を削っていた職人さんの物語があります。あり得ない環境だったからこそ生まれた素敵ジュエリーを、違いがわかる方にご覧頂きたいです。

年代：19世紀フランス製
ブランド：Louis Hanot
素材：18金（PG）
ジェムストーン：瑪瑙　宝石鑑別書付
サイズ：約11号
刻印：Louis Hanot工房マーク・鷲の頭
コンディション：Excellent

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