シューマン
①ダヴィッド同盟舞曲集(1837年初版)
②管弦楽のない協奏曲(ピアノ・ソナタ第3番初版)

マウリツィオ・ポリーニ (ピアノ)
録音:2000年6月

ポリーニの極限まで磨き上げられた完全な技巧と、近年さらに深化を遂げた表現力によって、シューマンの作品に込められた心情の推移を見事に描ききっています。歴史に残る名盤がまた1枚、ポリーニによって、ここに誕生しました。また、ピアノ・ソナタ第3番もシューマンのロマン的な側面がよく現れたもので、ここではその初校にあたる1836年の版が使われています。

ポリーニ58歳の演奏です。深い創造力と表現力、そして心憎いほどの卓越した心理的描写でシューマンの夢幻界へと誘う演奏です。この2曲はどちらかといえば、あまり演奏される機会の少ない曲ですが、ポリーニの演奏で聴くと、とても良い曲だと感じられます。シューマンの幻想とロマンの世界を余すところなく表出しています。

ダヴィット同盟舞曲の作曲が行われた1838年の夏から秋にかけてのシューマンは、人生のなかでももっとも幸福な時期を迎えています。この直前にはクララから婚約を受諾するという手紙を受け取り、心の高揚がこの作品にも現れたものといえます。一方、ピアノ・ソナタ第３番もシューマンのロマン的な側面がよく現れたもので、ここではその初校にあたる1836年の版が使われています。

心・技・体すべてが充実し、テクニックの衰えをまったく感じさせない、ポリーニ58歳時の会心の録音です。このCDを購入される“ポリーニファン”はすでに彼が録音してきたシューマンの全作品を聴いてこられたと想像しますが、ポリーニの健在ぶりに感激するに違いないでしょう。「ダヴィッド同盟舞曲集」・「管弦楽のない協奏曲（ピアノ・ソナタ第3番）」の両曲共にマイナーな存在ではありますが、ダヴィッド〜では変幻自在な小曲の連続に退屈することなく驚嘆しつづけることができます。管弦楽のない〜ではポリーニの終始一貫した集中力と、特に強打鍵時のポリーニサウンドの健在ぶりに感涙しそうです。

国内盤、帯無し、盤面傷無し 13

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